石鎚山北壁の岩場


四国で最も多くのクライマーに登られている、石鎚山北壁のルートを紹介します(アプローチは土小屋から)。


三の鎖元から見た北壁。中央の大きな切れ込みがトイルートの大凹角
中央部に登攀中のクライマーが見える

石鎚山山頂から鶴子ノ頭、土小屋に至る東稜の上部の両面には鋭い岩壁が落ちています。特に北壁(実際には北東)は、スケールは小さいながらも、傾斜の強い、エイド中心のクライミングの場を提供しています。壁は全体的にハングしており、基部に立つと、押しつぶされるような凄みがあります。終了点が西日本最高峰の天狗岳山頂というのがこの岩場の最大の魅力でしょう。

近頃はフリーで登る猛者も出てきているようですが、北壁の支点の状態は決して良いとは言えません。トップで落ちると、ものすごい宙吊りになる可能性がありますので、挑戦される方はくれぐれも慎重に。

北壁の基部には、三の鎖小屋前の広場でハーネスを付けてから小屋のすぐ前の踏み後をたどりトラバースします。遭難プレートが目印。下りすぎないように。怪しいなと感じたら、上にルートを求めるといいです。

土小屋から三の鎖小屋まで2時間弱。三の鎖小屋から取り付きまで15分程度。

北壁で良く登られているのが@トイルート、Aワシオルート、A`ワシオルート、Bダイレクトルートです。


@トイルート(2時間) 北壁入門ルート。1P踏み跡から容易な草付を左上し狭いテラスへ。2P頭上の小凹角をA1混じりで直上し、左にトラバースして大カンテ基部の大テラス。3P大カンテ右の大凹角を(トイの由来)を登る。下部はA1〜A0混じり。途中歩いて終了点直下の小ハングをアブミで乗越す。左手のガバがとれれば安心。アブミの回収がちょっとやりにくい。終了点にピンはなくそのへんの岩で適当に支点を取る(他ルートも同じ)。トイルートは北壁中最もグレードが低いが、ギャラリーの反応が一番あるので、結構面白いかも(他のルートは上部がかなり被っているので山頂からはクライマーが全然見えない)。

Aワシオルート(2〜3時間) 取り付きはダイレクトと同じく、遭難プレートから10メートルほど登ったリングボルト。1P左上気味にフリーで登り始める。少し登り大きな弧を右に描いてトラバース。グニャリと曲がった大きなハーケンまでV級のフリー。頭上が被っているため目の錯覚で下部の傾斜は緩くみえるが、実際にはこのあたりも結構傾斜はきつい。ロープが重くならないように支点の取り方に工夫を。曲ったハーケンからA1で薄被りのフェースを直上する。このあたりのお助けスリングやさびたリングボルトは心細い。登り切ってハング下のテラス。2P頭上の岩が牙のように飛び出したハングを右上気味にエイドで越える(ここをフリーでいく人もいるそうです・・・)。A2となっていますが、支点が多いのでフィフィをうまく使えばそれほど苦労はしないはず。ハングの先で足下を見ると遙か下まで何にもなく高度感は強烈。屏風にもひけをとりません。10メートルで大テラス。2Pでそのまま終了点まで行くこともできますが、ロープが重いのと、せっかくここまで来て、2Pで帰るのもなんだか悔しいので、いつもここで切ってます。このテラスは快適で遙か下の一般道を歩く登山者がよく見えます。頂上のおしゃべりが聞こえるのが雰囲気を壊しますが(笑)。3Pは左上する凹角の左面をA1(寝てます)。最後は3級のフリーで終了。1P、2Pは壁に正対。3Pの人工は壁に対して横向きに登ります。1P、2Pは落ちると完全に宙吊りになるので、脱出対策は万全に。

A`3P目を左上せずに、正対で直上してカンテルートの上部に合流する。手製ハンガーの連打で安心感は抜群。ハングの所は少し遠い。カンテルートに合流してからは露出度満点のフリー。ギャラリーの注目間違いなしでしょう。

Bダイレクトルート(2〜2・5時間) 1P下部はワシオと同じ正対のフリー。北壁の中央を左上する顕著な凹角に入ってからは(ちょっと右気味に登ってから入る。左側のノーマルルートと間違わないように)凹角側面を横向いてA1〜A0。2つの小ハング(でっぱり)を越え、凹角の面が一番広いちょこっとしたバンドでアブミビレイ。2Pは単調なA1だが、ルートから左に落ちると宙吊りになり、かなりやばい。凹角が左に消え正対に戻る最も飛び出したところの一歩が一番ビビる。正対してからは容易なフリー。単調だが危険性のあるルートです。


その他の留意点 
 

 

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